昨今巧妙化するSMSの「フィッシング詐欺」ですが、注意深く観察すれば見抜くためのポイントがいくつか存在します。この記事では、怪しいSMSかどうかを判断するための具体的な「7つの方法」をご紹介します。これらを総合的に確認することで、詐欺被害のリスクを大幅に減らすことができるはずです。
詐欺被害を防ぐためにも、ぜひご家族や知人、会社の人にも広めてあげてください!
方法1:送信元の電話番号やURLをしっかり確認する
正規の企業からのSMSであっても、表示される送信元番号は様々です。しかし、フィッシング詐欺のSMSでは、見慣れない国際番号から送信されていたり、一般的な電話番号の形式ではなかったりする場合があります。また、メッセージ内に記載されているURLも重要なチェックポイントです。
お客様宛にお荷物のお届けにあがりましたが不在の為持ち帰りました。
下記より再配達をご依頼ください。
http://t.co/XFcY2rBT
- URLの文字列
- 正規の企業のドメイン名と酷似しているが、よく見ると一部の文字が違っていたり(例:
amazom
とamazon
)、不要な文字列が追加されていたり、全く関係のないドメイン名が使われていたりします。
- 正規の企業のドメイン名と酷似しているが、よく見ると一部の文字が違っていたり(例:
- HTTPSの有無
- URLが「http://」で始まっている場合、通信が暗号化されていません。正規の企業が個人情報を入力させるサイトで「http://」を使用することは稀です。必ず「https://」で始まっているか確認しましょう(ただし、HTTPSであっても偽サイトの可能性はあります)。
- 不自然な階層
- 正規サイトに見せかけるため、URLのディレクトリ構造が異常に長かったり、無関係な文字列が紛れ込んでいたりすることがあります。
方法2:日本語の表現に不自然な点がないかチェック
フィッシング詐欺のSMSは、海外の犯罪グループによって作成されている場合も多く、日本語の表現に誤りや不自然な点が見られることがあります。
- 誤字・脱字
- 単純な変換ミスや、普段使われない漢字が使用されている。
- おかしな文法や言い回し
- 日本語として不自然な語順であったり、翻訳ソフトで直訳したようなぎこちない表現であったりする。
- 不必要な句読点の多用や不足。
- 敬語の使い方が不適切。
ただし、近年では日本語の精度も向上しているため、一見して自然な日本語に見えても油断は禁物です。
方法3:個人情報やパスワード入力を急かすか確認する
フィッシング詐欺の多くは、受信者の冷静な判断力を奪うために、極端に短い期限を設定したり、「至急」「緊急」「本日中」といった言葉で危機感を煽り、個人情報やパスワードの入力を急かそうとします。
注意:ダイレクトパスワードがまもなく失効します。
三菱東京UFJ銀行のマイページより設定の更新をしてください。
http://ufj-b10.a/MpRRev6Z
- 過度な緊急性のアピール:
- 「アカウントがロックされます」「法的措置に移行します」など、強い言葉で不安を煽り、即座の行動を要求する。
- 時間制限の不自然さ
- 対応期限が異常に短く設定されている。
正規の企業が重要な手続きを促す場合でも、通常はある程度の猶予期間が設けられています。異常なまでに急かす内容は疑ってかかるべきです
方法4:公式情報と照らし合わせて真偽を確かめる方法
SMSで受け取った情報に少しでも疑問を感じたら、そのSMS内のリンクは絶対にクリックせず、必ず公式のウェブサイトやアプリ、あるいは公表されている問い合わせ窓口を通じて情報の真偽を確認しましょう。
- 公式サイトのお知らせを確認
- 多くの企業は、フィッシング詐欺に関する注意喚起や、正規の通知方法について公式サイトで情報を公開しています。
- ブックマークや検索エンジンからアクセス
- SMS内のリンクではなく、事前にブックマークしておいた公式サイトや、信頼できる検索エンジンで企業名を検索して公式サイトにアクセスし、同様の通知がないか確認します。
- 公式の問い合わせ窓口に確認
- 電話やメールで、受信したSMSの内容について問い合わせてみるのも有効な手段です。
方法5:短縮URLや見慣れないドメインに注意する
フィッシング詐欺SMSでは、偽サイトのURLを隠蔽したり、文字数制限のあるSMS内でURLを短く見せたりするために、短縮URLサービス(例: bit.lyなど)が利用されることがあります。正規の企業が重要な通知で短縮URLを使用することは稀です。
また、URLの末尾(トップレベルドメイン)が「.com」「.co.jp」「.jp」など一般的なものではなく、「.xyz」「.top」「.info」といった見慣れないものであったり、国別コードトップレベルドメイン(ccTLD)が悪用されたりする場合も注意が必要です。
方法6:過度に魅力的な内容や不安を煽る言葉に警戒
「高額当選」「全員にプレゼント」「限定給付金」といった、あまりにもうまい話や、逆に「アカウントが危険に晒されています」「法的措置を開始します」といった、過度に不安を煽る内容は、フィッシング詐欺の常套手段です。
このようなメッセージは、受信者の射幸心や恐怖心といった感情に訴えかけ、冷静な判断を鈍らせることを目的としています。魅力的な話には必ず裏がある、過度な脅しは詐欺の可能性が高い、という意識を持つことが大切です。
方法7:知っている企業でもSMS経由の誘導は疑う姿勢
たとえSMSの送信元名が普段利用している企業名やサービス名であったとしても、それが本物であるとは限りません。送信元名は比較的簡単に偽装できる場合があります。
そのため、知っている企業からのSMSであっても、メッセージ内のリンクから直接ウェブサイトにアクセスしたり、個人情報を入力したりするのは避け、まずは一度立ち止まって疑う姿勢が重要です。必要であれば、前述の「方法4」のように、公式ルートから情報を確認するようにしましょう。
被害に遭う前に!今日からできるSMSフィッシング詐欺対策4ステップ
SMSフィッシング詐欺の被害を未然に防ぐためには、日頃からの対策が非常に重要です。ここでは、誰でも今日から実践できる基本的な4つの対策ステップをご紹介します。
ステップ1:OSやセキュリティソフトを最新状態に保つ
スマートフォンやパソコンのオペレーティングシステム(OS)、ウェブブラウザ、そしてセキュリティ対策ソフト(アプリ)は、常に最新のバージョンにアップデートしておくことが基本中の基本です。
- OS・アプリのアップデート
- ソフトウェアの脆弱性を悪用した攻撃を防ぐため、提供元からセキュリティパッチやアップデートがリリースされたら速やかに適用しましょう。自動アップデート機能を有効にしておくことを推奨します。
- セキュリティソフトの導入と更新
- 信頼できるセキュリティソフトを導入し、定義ファイル(ウイルスや不正なサイトの情報を記録したもの)を常に最新の状態に保つことで、不正なアプリのインストールを防いだり、フィッシングサイトへのアクセスをブロックしたりする効果が期待できます。
ステップ2:不審なSMSは無視・削除!URLは開かない
少しでも「怪しいな」と感じるSMSを受信した場合は、最も安全な対処法は「何もしないこと」です。つまり、メッセージ内のURLやリンクは絶対にクリックせず、添付ファイルも開かず、記載されている電話番号にも電話をかけず、そのまま無視するか削除しましょう。
好奇心や不安からついリンクを開いてしまう心理も理解できますが、それが被害の入り口となる可能性があります。送信元が不明なもの、内容に心当たりがないものは、基本的に無視・削除を徹底することが肝心です。
ステップ3:迷惑SMSフィルタリング機能を活用する方法
多くの携帯電話キャリア(NTTドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルなど)は、迷惑SMSを自動的にブロックしたり、警告表示したりするフィルタリング機能を提供しています。また、スマートフォン自体やセキュリティアプリにも同様の機能が搭載されている場合があります。
これらのフィルタリング機能を有効に設定することで、既知のフィッシング詐欺SMSや迷惑SMSが届きにくくなる効果が期待できます。設定方法はキャリアや機種によって異なりますので、ご利用のキャリアのウェブサイトや取扱説明書で確認し、積極的に活用しましょう。
ステップ4:ID・パスワードの使い回しを避ける
SMSフィッシング詐欺に限らず、あらゆるオンラインサービスにおいて、IDやパスワードの管理はセキュリティの要です。特に、異なるサービスで同じID・パスワードを使い回すことは非常に危険です。
万が一、あるサービスでID・パスワードが漏洩してしまった場合、他のサービスでも同じものを使っていると、連鎖的に不正アクセス被害(パスワードリスト攻撃)に遭う可能性が高まります。サービスごとに異なる、推測されにくい複雑なパスワードを設定し、可能であればパスワードマネージャーなどを活用して安全に管理しましょう。
また、二段階認証(多要素認証)が利用できるサービスでは、積極的に設定することをおすすめします。
もしSMSフィッシング詐欺の被害に遭ってしまったら?緊急対処3ステップ
万全の対策を講じていても、巧妙な手口によってSMSフィッシング詐欺の被害に遭ってしまう可能性はゼロではありません。もし被害に気づいた場合は、パニックにならず、迅速かつ冷静に以下の3つのステップで対処することが重要です。被害の拡大を防ぎ、回復への第一歩を踏み出しましょう。
ステップ1:すぐに専門機関や警察へ相談・通報する
金銭的な被害が発生した場合、あるいは個人情報を入力してしまった場合は、速やかに以下の機関に相談・通報しましょう。
- 警察
- 最寄りの警察署の窓口、またはサイバー犯罪相談窓口(電話番号「#9110」)に相談します。被害状況を具体的に伝え、指示を仰ぎましょう。
- 消費生活センター・国民生活センター
- 消費者ホットライン「188(いやや!)」に電話すると、専門の相談員が対応してくれます。契約トラブルや金銭被害に関するアドバイスが受けられます。
独立行政法人国民生活センター
- フィッシング対策協議会
- 被害に遭ったフィッシングサイトの情報を報告することで、同様の被害拡大防止に繋がります。ウェブサイトから情報提供が可能です。
早期の相談・通報が、被害回復や犯人逮捕への重要な手がかりとなる場合があります。
ステップ2:クレジットカードや銀行口座の利用を停止する方法
クレジットカード情報や銀行口座情報をフィッシングサイトに入力してしまった場合は、直ちに各カード会社や金融機関の緊急連絡先に連絡し、利用停止の手続きを行ってください。
- クレジットカード会社
- カード裏面に記載されている紛失・盗難受付窓口や、ウェブサイトで公開されている緊急連絡先に電話し、事情を説明してカードの利用を止めてもらいます。不正利用された場合の補償についても確認しましょう。
- 銀行などの金融機関
- 取引のある金融機関の窓口や電話番号に連絡し、口座の利用停止や振込制限、インターネットバンキングの一時停止などの手続きを行います。
不正利用が確認される前に迅速に対応することで、金銭的被害を最小限に抑えられる可能性があります。
ステップ3:関連するアカウントのパスワードを全て変更する
フィッシングサイトに入力してしまったIDやパスワード、あるいはそれと同一・類似のものを他のオンラインサービスでも使用している場合は、直ちにそれら全てのアカウントのパスワードを変更してください。
- 最優先で変更すべきもの
- フィッシングサイトで入力したものと同一のID・パスワードを使用している全てのサービス(SNS、メール、オンラインショッピングサイトなど)。
- パスワード変更のポイント
- 新しいパスワードは、以前使用していたものとは全く異なる、推測されにくい複雑なもの(大文字・小文字・数字・記号を組み合わせるなど)に設定します。
- 二段階認証の有効化
- 可能であれば、この機会に各サービスで二段階認証(多要素認証)を設定し、セキュリティを強化しましょう。
これにより、アカウント乗っ取りやさらなる情報漏洩といった二次被害を防ぐことができます。
SMSフィッシング詐欺についてもっと知りたい!よくある質問(Q&A)
ここまでSMSフィッシング詐欺について詳しく解説してきましたが、まだ疑問点や不安なことがあるかもしれません。ここでは、よく寄せられる質問とその回答をQ&A形式でまとめました。
Q1. SMSが本物か偽物か、どうしても判断できない時はどうする?
A1. 最も安全なのは、「疑わしきは対応せず」の原則です。SMS内のリンクや電話番号は利用せず、必ずその企業やサービスの公式サイトを自分で検索してアクセスし、同様の情報が掲載されているか確認するか、公式の問い合わせ窓口に直接連絡して確認してください。安易な自己判断は禁物です。
Q2. 家族や友人が被害に遭いそう…どうアドバイスすればいい?
A2. まずは落ち着いて話を聞き、不安な気持ちに寄り添うことが大切です。その上で、本記事で紹介したような手口や見分け方のポイントを優しく伝え、一緒に送信元の確認や公式サイトでの情報確認を手伝ってあげましょう。頭ごなしに否定せず、具体的な対策を一緒に考える姿勢が重要です。必要であれば、専門機関への相談も促しましょう。
Q3. iPhoneとAndroid、OSごとの注意点や設定の違いは?
A3.基本的なフィッシング詐欺の手口や対策は、iPhoneでもAndroidでも共通です。ただし、OSのアップデート方法や迷惑SMSフィルターの設定方法、セキュリティアプリの種類などには違いがあります。それぞれのOSの公式情報や、信頼できるセキュリティ情報を参考に、お使いの端末に合った対策を講じることが大切です。どちらのOSでも、提供元不明のアプリをインストールしない、怪しいプロファイルをインストールしないといった基本は守りましょう。
Q4. 最新のフィッシング詐欺情報はどこで確認できる?情報収集3選
A4. フィッシング詐欺の手口は日々変化しています。最新情報を入手し、常に警戒心を保つことが重要です。
- フィッシング対策協議会
- 最新のフィッシング詐欺の事例や注意喚起情報をウェブサイトで公開しています。
- 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
- 「情報セキュリティ安心相談窓口」などで、セキュリティに関する様々な情報提供や注意喚起を行っています。
- 各携帯電話キャリアの注意喚起ページ
- NTTドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルなどのキャリアも、自社サービスを騙るフィッシング詐欺などについて注意喚起を行っています。
これらの情報源を定期的にチェックすることをおすすめします。
まとめ:SMSフィッシング詐欺から身を守り、安全で快適なコミュニケーションを

本記事では、私たちの生活に身近なSMSを悪用した「フィッシング詐欺(スミッシング)」について、その手口から見分け方、対策、そして万が一の対処法まで、幅広く解説しました。
SMSは、企業からの重要な通知や二段階認証コードの受信など、現代社会において迅速かつ確実に情報を伝達するための大変便利なツールです。企業にとっては顧客満足度の向上や業務効率化に繋がり、私たち個人にとってもタイムリーな情報入手に役立ちます。しかし、その利便性の裏には、今回見てきたようなフィッシング詐欺という深刻なリスクも潜んでいます。
最も重要なのは、「送信元の確認を徹底する」「安易にURLをクリックしない」「個人情報を入力する際は慎重になる」といった基本的なセキュリティ意識を常に持ち続けることです。企業も個人も、SMSの利便性と危険性の両側面を正しく理解し、本記事で紹介したような知識と対策を賢明に活用することで、この便利なコミュニケーションツールを安全に利用し、その恩恵を最大限に享受することができるでしょう。
フィッシング詐欺の手口は巧妙化し続けていますが、私たち一人ひとりが正しい知識を身につけ、注意深く行動することで、その被害を未然に防ぐことは十分に可能です。この記事が、皆様の安全で快適なスマートフォンライフの一助となることを心より願っております。