SMSキャリア共通番号とは?基本をわかりやすく解説
SMSキャリア共通番号の定義
SMSキャリア共通番号とは、日本の携帯キャリア(ドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイル)を問わず、統一された番号でSMS(ショートメッセージサービス)を送信できる仕組みです。これにより、企業は異なるキャリアのユーザーに対しても、同じ番号から一斉にメッセージを送信できます。
従来、ソフトバンクのSMS送信元番号は「03-XXXX-XXXX」や「0120-XXX-XXX」といった、いわゆる電話番号を表示してSMSを送信することができませんでした。ソフトバンクは”2″から始まる5桁もしくは6桁のショートコードを使用してSMSを送信する仕組みでしたが、今回の番号共通化によって、他3キャリアと統一した番号でSMSを送信できるようになりました。
また、今回の番号共通化は2021年6月からスタートしましたが、当初はドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社のみが参画していました。しかし、利用者からは「楽天モバイルだけ共通化していない」と反響が多くありました。楽天モバイルはこれに対し、2023年1月に番号共通化に参画する旨を表明し、正式に2023年1月から4キャリアが統一された番号でSMSを送信できるようになりました。
< 各社表明 >
株式会社NTTドコモ:https://www.docomo.ne.jp/info/news_release/2021/06/28_00.html
KDDI株式会社:https://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2021/06/28/5209.html
ソフトバンク株式会社:https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2021/20210628_01/
楽天モバイル株式会社:https://corp.mobile.rakuten.co.jp/news/press/2023/0110_01/
※ここに掲載されている情報は、発表日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。
キャリア共通番号が注目される理由
キャリア共通番号が注目される理由は主に2つあります。
1.マーケティング
ビジネスでの活用が増えている背景には、ユーザー利便性の向上とコスト削減の効果があります。キャリア共通番号を活用することによって、特に、マーケティングや顧客サポートでの利用が増えており、企業にとって重要なツールとなっています。
SMSのマーケティング活用については下記記事で詳しく解説しています。

2.詐欺・なりすまし対策
昨今SMSによる特殊詐欺が急増しています。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの携帯キャリアのみならず、国を挙げて総務省と警察庁がこの特殊詐欺撲滅を推進しています。番号共通化はこの特殊詐欺対策の一環であり、番号共通化以外にもSMSのフィルタリングを強化、携帯電話契約時の本人確認を強化するなどの対策を実施しています。
”SMSを悪用するフィッシング詐欺(スミッシング)や、SMSを契機とする架空料金請求詐欺等の被害が相次いでいることから、一部の電気通信事業者がデフォルトオンで提供しているSMSフィルタリングの活用を拡大するとともに、スミッシングメッセージの申告受付やSMS対策に係る周知・啓発を推進する。”
出典:総務省「国民を詐欺から守るための総合対策 概要」
SMSキャリア共通番号のメリット
詐欺対策
従来、SMSは携帯電話番号や海外の電話番号を表示して送信することが大半でした。現に2023年から2024年にかけて特殊詐欺で使用される番号は国際電話番号が最も多いことが調査の結果で分かっています。
一方、キャリア共通番号は厳しい審査を通過した”法人のみ”が利用できる番号です。「0005番号」から届くSMSはSMSを適正利用している誠実な企業ですので、利用者は安心してSMSを開封することができます。
ユーザーへの到達率向上
キャリア共通番号は、キャリアを問わず確実にメッセージが届く仕組みです。これにより、開封率が高く、即時性のあるコミュニケーションが可能になります。
また、事前に携帯キャリアが審査をし認定をしていますので、フィルタリングされることもないため、到達率が非常に高くなります。
ブランドイメージの向上
信頼性の高い番号を使ったコミュニケーションは、ユーザーからの信頼を獲得しやすくなります。これにより、ブランドイメージの向上にもつながります。
HPで0005番号を掲示し「当社はこの0005-XXX-XXXからのみSMSを送信します。」と記載していれば、利用者は0005番号をWebで検索した時に、HPを見て安心することでしょう。
SMSキャリア共通番号について活用3つのステップ
ステップ1: サービス提供会社の選定
キャリア共通番号を活用するためには、まず信頼性の高いサービス提供会社を選定することが重要です。以下のポイントを考慮して、最適なパートナーを見つけましょう。
- 信頼性とコストパフォーマンスの比較
- 各社のプランや料金体系を比較し、自社のニーズに合ったサービスを選びます。初期費用や月額費用、送信単価などを確認し、長期的なコストパフォーマンスを評価します。
- サポート体制の確認
- 24時間365日のサポート体制があるか、日本語対応が可能かなど、緊急時の対応力を確認します。特に、初めて導入する企業にとっては、手厚いサポートが不可欠です。
ステップ2: 番号の取得と設定
サービス提供会社を選定したら、次はキャリア共通番号の取得と設定を行います。このステップでは、以下の手順を踏みます。
- キャリア共通番号の申請手続き
- サービス提供会社を通じて、キャリア共通番号の申請を行います。申請には、企業情報や利用目的の提出が必要です。審査期間は数日から数週間かかる場合があるため、早めに手続きを進めましょう。
- システムへの番号登録
- 取得した番号を自社のシステムに登録します。API連携や専用の管理画面を使って、番号の設定を行います。この際、送信テストを行い、問題がないか確認することが重要です。
ステップ3: ユーザーへの周知と運用開始
番号の取得と設定が完了したら、最後にユーザーへの周知と運用開始を行います。このステップでは、以下のポイントに注意します。
- ユーザーへの通知方法
- 新しい番号を使ったSMS配信を開始する前に、ユーザーに通知を行います。メールや既存のSMS、ウェブサイトの告知など、複数のチャネルを使って周知徹底を図ります。これにより、ユーザーが新しい番号からのメッセージを受け取る準備が整います。
- フィードバックを元にした改善
- 運用開始後は、ユーザーからのフィードバックを積極的に収集し、改善に役立てます。特に、メッセージの到達率やユーザーの反応をモニタリングし、必要に応じて配信内容やタイミングを調整します。
SMSキャリア共通番号の成功事例
コスト削減とユーザー満足度の向上
インフラ企業Aは、キャリア共通番号を導入することで、ユーザーへの到達率が向上しました。重要な業務連絡や確実に届けたいキャンペーンSMSもキャリア共通番号を使用することで、導入当初よりも全体平均で約92%→約96%の到達率改善が実現できました。アンケートを取ったところ、顧客満足度も15%向上し、これにより、リピート率が約9%増加し、新規顧客の獲得にもつながりました。
ブランドイメージの向上と新規顧客獲得
アパレル企業Bは、キャリア共通番号を活用して、マーケティングキャンペーンを実施しました。これにより、詐欺疑いのSMSが一掃され、ブランドイメージが大きく向上し、新規顧客が約11%増加しました。また、送信元番号が統一されたことで、統計データの集計・分析も容易になり、業務効率も大幅に改善されました。
SMSキャリア共通番号の未来
今後の展望と注意点
テクノロジーの進化により、キャリア共通番号の利便性はさらに向上するでしょう。特に、AIやビッグデータとの連携により、より効果的なマーケティングが可能になることが期待されています。
また利用の際にはセキュリティリスクへの対応含め、ユーザーの個人情報を保護するための対策をしっかりと行いましょう。プライバシーポリシーを明確にし、ユーザーに安心感を与えることが重要です。
まとめ

SMSキャリア共通番号は、ブランド向上やユーザーへの到達率改善、詐欺・なりすまし対策など、多くのメリットをもたらします。
ぜひ、この機会にSMSキャリア共通番号の活用を検討してみてください。